貝の子プチキュー

《どんな絵本?!》

タイトルどおり、「貝の子」のお話です。
詩人である茨木のり子さんの絵本デビュー作にして、遺作にあたる生涯唯一の

絵本作品です。


「プチキュー」は、海の中に暮らす貝の子ども。

いつも一人ぼっちで、淋しくなると泣いてしまう小さな小さな貝の子ども。

ある日プチキューは、波が動けなくてつまらないと歌っているのを聞いて、自分は

動けるのだということに気づき、行動をおこします。


広い海の中を、いろいろなものを見てやろうと移動し、実際、たくさんの生き物と

出会い、会話するのです。

小さな貝の子が冒険するにはあまりにも広い海の中。
ですが、プチキューの冒険は海の中だけに留まりませんでした。

潮溜まり。
そこは、ヤドカリやカニや、フナ虫といった小さな生き物が犇めき生きている所。
プチキューは、海面へ出て美しい星空を見てとても幸せを感じるのでした。


とても切ないこのお話は、1948年に茨木のり子さんが朗読のために書かれた童話

の絵本化作品であり、
絵本化に際して大幅に書き直されているそうです。

茨木さんがお亡くなりになった4ヵ月後に出版されていますので、茨木さん絵本の

完成を待てず、またご自身で読者の反応を感じることはなかったようです。
が、この絵本は読者にとても支持されていると私は感じています。

遠い空の上から、茨木さんはしっかり見届けていらっしゃることでしょう!


《読み聞かせ方のヒント》

大判の絵本です。
縦×横が30cm程のほぼ正方形をしています。

絵をつけていらっしゃる山内ふじ江さんは、東京芸大ご出身で、この絵本をとても多く

の年月をかけて描かれたそうです。
海の中という独特の世界を、不思議な色遣いと技法で持って見事にその音や雰囲気

までもが表現されている、美しい絵。

絵本を開くと、すぐにその詩と絵に惹きこまれていきます。

扱っているテーマがテーマなので、★★★★★に分類しました。
ラストへ至るストーリー運びが理解できる年齢ということで。

静かに切ない気持ちに浸りたい時、お薦めします。

 

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